そんな親友の想い人を痛めつけるのは、気が進まない。

ルナは足元に這い蹲ったティーダを見ながら、溜息をつく。

既に試合は始まっていた。

審判、ヴラドの掛け声と共に開始された1回戦第1試合。

開始線から放たれるように間合いを詰めたルナは、まだ抜剣もしていないティーダを叩き伏せた。

「今日は凄く調子がいいの」

ルナが言う。

「この日の為に、余計な魔力の消費も抑えて、逆に血液を補給して魔力を蓄えたの。凄く調子がいいの。日のある時間帯なのに、深夜と同様の体調なの。だから」

ルナの翡翠色の瞳が、金色に輝く。

「ティーダ死ぬかも」

振り下ろす右手。

瞬時にして伸びた爪が、鋭利な刃と化す!

それを。

「くっ!」

ティーダは身を起こし、鍔元一寸抜いたユースティティアで受け止める。