ただ、と。

ティーダは但し付けする。

「俺は科学なんてよく分からんけど、もし転移魔法陣を応用して過去の世界に遡れるとしても…過去の出来事を変えるのは難しいと思うぜ」

「あ?何でだよ」

極端な話、ティーダを生まれないようにするには、過去に遡ってシオンかリプニーを殺してしまえばいい。

そうすれば、生まれなくなるのではないか。

「修正力さ」

ティーダは言った。

「歴史改変っていうのは、既に決まっている時間の流れを変えるって事なんだ。こうなる事が決まっているっていう時間の流れは、過去に戻ってどんな事をしても変えられない。どんな強い武器を持って、父さんや母さんを殺しに行ったとしても、世界の修正力が働いて、無理矢理にでも阻止される。その強力な武器が壊れたり、何らかの理由で父さんや母さんには通じなかったり。更に大きな力が働いて、殺そうとした奴そのものが修正力で抹消されてしまったり」

いわゆるタイムパラドックスの類だ。