各選手とも、準備は万端。

それぞれ控室を出て、会場への通路を進む。

通路で顔を合わせ、笑い合う選手達。

その最後方から。

「……」

靴音が響いた。

両目が隠れるほどの長い前髪、紺のコートを着た小さな少年が、歩いてくる。

今大会唯一の、『現代の天神学園以外の出場者』、丹下 ルカ。

いや、『中身』を言えば、龍一郎も現代の人間ではないが。

「お招きに預かりまして光栄です、龍一郎さん」

ルカは一礼する。

「あのタイマントーナメントに、一選手として参加できるなんて夢にも思いませんでした」