「……」

龍一郎の控室のドアが開く。

無言で入ってきたのはヴラドだ。

「おぅ、悪ィな学園長。審判引き受けてもらって」

「全くだ。貴様らのような未熟者の茶番に付き合わされる俺の身にもなれ」

迷惑そうに溜息をつくヴラド。

「時に龍一郎、ひとつ訊くが…あの丹下 ルカという出場者、魔道協会の息のかかった者か?」

過去タイマントーナメントに、天神学園部外者の出場例はない。

もしそうだとすれば、異例どころか学園のセキュリティにもかかわる問題だが。

「大丈夫だよ、ルカはこの学園の関係者だ。ま…丹下の身内ってとこだな」

「……」

釈然としない表情のヴラド。

「まぁいい。今大会の発起人は貴様だ。何があっても俺は関知せんから、そのつもりでいろよ?」