この時代本来の龍一郎は、ガキでどうしようもない奴かもしれない。

しかし様々な経験を経て、龍一郎はここにいる龍一郎になるのだ。

今の龍一郎と何ら変わりはしない。

「そうなるように、すず先生が俺をいい男に育ててくれよ」

「…わかったの。最高の旦那様に育成してあげるの」

クスッと笑い、彼女は龍一郎に寄り添う。

寄り添い、頬擦りして。

「!」

キスをした。

「…大人ぶってても、やっぱりガキなの。キスくらいで顔が赤いの」

「す、すず先生だって赤いぜっ」

「ベルが生まれるにはもっと凄い事しなきゃいけないのに、本当に娘なんて生まれたの?」

「…も…もっと凄い事って何だ…?」

「っ!」

すずは耳まで赤くなって、視線を逸らした。

「知らないのっ」