「危なかったの」

「危ねぇなんてもんじゃねぇわっ!何なんだよすず先生!」

仰向けに寝ている龍一郎は、自分の胸の上に乗っているすずに向かって言う。

「何って、龍一郎のとこに遊びに来たの。蒲公英に見つかるかと思って冷や冷やしたの」

「アンタが玄関から来ればいいんだろうがよっ、ベランダから飛んで入ってくるからこういう事になるんだ!」

龍一郎以外、すずが訪問してきた事を知る者はいません。

不法侵入者が多い龍一郎の部屋。

「玄関からお邪魔したら、家族の人に気を遣わせてしまうの」

「ベランダからお邪魔されたら、俺が気を遣うわ、たくよぉ…」

言いつつ、龍一郎は顔を赤くする。

クスッと笑うすず。

「ん?何なの?」

「た、蒲公英行ったぜ?もう離れてもいいんじゃねぇか?」