『ならば』

禿鷲は言った。

『貴様よりも優れた武の先駆者として、1つ忠告してやろう』

「お?何だ何だ?オメェが忠告なんて珍しいな」

耳を貸す龍一郎。

『…ルカは恐らく、戦闘で時間操作を駆使してくるだろう。時間遡行が出来るのだ。数秒後の未来に移動したり、逆に数秒前に移動したりする事で、攻撃の無効化や回避を可能にできる筈だ。それは単純に高速移動というのとは訳が違う。どんなに速く動いても、時間を早送りしたり巻き戻したりする者には到底敵わん』

「……お前の時凍えでもか?」

『言っただろう。ルカは素早い動きではない。時間そのものの移動なのだから』

「……」

想像以上に深刻な事態だ。

禿鷲の時凍えでも敵わないとは。