豪語する龍一郎。

ルカは少しばかり躊躇いを覗かせる。

「そうは言いますけど、龍一郎さん…もし僕も龍一郎さんも優勝できなかったらどうするんです?龍一郎さん以外の一味の人が優勝しても、僕は言いなりですか?」

「何でぇ、やる前からもう負ける心配かよ」

ルカの言葉に、龍一郎は笑った。

「なら、こうしてやんよ」

龍一郎は手近にあった紙とペンで、トーナメント表を書いて見せる。

1回戦を経て、準決勝、決勝。

いたって普通のトーナメント表だ。

しかし龍一郎は、その決勝戦の先にもう1つ、試合を作った。

「お前は特別枠だ。トーナメントを勝ち上がってきた奴と、1回だけ戦えばいい。それに勝ったらお前が優勝だ。たった1回勝つだけで、お前の勝ちって事だ」