「夕飯は話が終わってからだ」

ノエルの顔に、笑みはなかった。

…怒っている。

その事に気付き、蒲公英は口を噤み、龍一郎は神妙な顔をする。

「座りなさい、龍一郎」

ノエルに促され、対面に座る龍一郎。

「父さんが、前に雷声を使った事を窘めたのは覚えているかい?」

龍一郎と蛮が決闘した時、龍一郎は太極拳の極意である雷声という技を使い、ノエルに注意を受けた。

まだ龍一郎の肉体は、成長期で鍛錬が終わっていない。

仕上がっていない肉体で無理をするのは、後々になって後遺症が出る恐れがあるからだ。

「…だけど父さんは、龍一郎がヴラド学園長に八卦七十二暗腿を使ったっていう話を聞いたんだ…本当かい?」

「…ああ」

龍一郎は頷く。

「使った」