天神学園の奇妙な案件

禿鷲のその言葉で、龍一郎はハッとする。

「…なあ、禿鷲。ちっと訊いてみるんだけどよ」

恐る恐るといった様子で、彼は禿鷲に問い掛けた。

「例えば、俺がもしルナとこのまま結婚したとしたら…どうなっちまうんだろうな」

『月並みな事を言うならば…貴様の知っている未来とは変わるのではないか?貴様の娘であるベルは生まれず、あの吸血鬼娘と退治屋の小僧の間にダンピールとやらは生まれない。シオンの倅と貴様の妹が結ばれるのならば、あの勇者の兄弟は生まれるかもしれないがな』

「……」

龍一郎は黙り込んでしまう。

ベルが生まれず、ダンドリッジが生まれない。

龍一郎の知っている未来に、2つのピースが足りなくなってしまうのだ。

龍一郎の知っている未来では最強の称号を得る男が、存在しなくなってしまう…。