「ちょ…ティーダ、何を言って…」

意味が分からず、困惑するルナ。

そんなルナに。

「僕をどうする気だ」

蛮は続ける。

「そうか、僕を虜にしたまま、ツェペリ家の屋敷に連れ帰る気だな?」

「え…?」

驚いて、蛮とヴラドの顔を交互に見るルナ。

(…そういう事か…)

ヴラドは密かに笑う。

餓鬼どもの癖に、なかなか小賢しい真似をする。

いいだろう、ここはその猿芝居に乗ってやろうではないか。

「よくやった、我が娘ルナよ」

インバネスコートを翻し、ヴラドは大仰に芝居がかった口調で言う。

「仲違いしたふりをしてヴァンパイアハンターの小僧の油断を誘い、虜にするという策を見事に果たしたようだな」