ルナは、牙の痕を残す。

手首から、二の腕、肩、そして首筋へ。

「ちょ…ルナ…」

蛮が首を竦める。

ルナの小さな牙は、皮膚を傷付けても痛さよりくすぐったさが先に立つ。

やがて、ルナは蛮の下唇を噛んだ。

「ひゅ…ひゅにゃ?」

唇を噛まれているせいで、上手く喋れない蛮。

…こんな所から、吸血した事はないのだが。

何故か、そうしたくなった。

しばらく蛮の両肩に手を置き、血の味を堪能する。