そんなこんなで花龍に軽く叱られ、やや不貞腐れ気味に、ヴラドは学園長室を出る。

学園内の刺殺、もとい視察と称しているが、どう見てもただの八つ当たりだ。

廊下を走っていた初等部の子をガン泣きさせ、トイレで煙草を吸っていた中等部のヤンキーを半死半生の目に遭わせ、学食で早弁していた体育の授業直後の高等部の生徒を空砲で失神させ、保健室でサボって仮眠をとっていた龍乃に激おこノエルの幻術を見せてガクブルにさせる。

今日はまた一段と制裁が厳しいと、生徒達の間で専らの噂だ。

「気に食わぬ…気に食わぬ…嗚呼、ルナ…」

やや病み気味の譫言を繰り返しながら、廊下を歩くヴラド。

渡り廊下、転がっていた空き缶を見つけ。

「…缶は屑籠に捨てんかぁっ!」

渾身の八つ当たりで空き缶を蹴り飛ばしたヴラドは。

「…機嫌悪ィなあ」

自販機コーナーでコーヒーを飲んでいた龍一郎に、その空き缶を受け止められた。