龍一郎は、呆れたように頭を掻く。

「親馬鹿も大概にしねぇからだろ。あんまり干渉するから、嫌んなって家出されるんだよ」

『貴様、天神学園の王に向かって何という言い草だ。覚悟しておけ?留年させてやる』

それが学園長の言う事か。

「まぁそう言うなよ、何か分かったら連絡するからよ」

『…いいだろう。ならば執行猶予はくれてやる』

言い残し、一方的にヴラドは電話を切った。

「…やれやれ」

スマホを傍らに置き。

「ああ言ってるぜ、お前の親父はよ」

龍一郎はルナの方を見た。

「……」

小規模の人払いの結界を張り、ルナは蛮と共に龍一郎のもとにいた。

本日はこのまま帰らないつもりだ。

この結界の中ならば、ヴラドの使い魔にも見つける事は出来ない。

「ルナ、悪い事は言わない。家に帰った方が…」

蛮の言葉にも。

「嫌」

ルナはムッとした表情で言う。

「お父様にはお灸を据える必要があるわ」

どっちが親なんだか。