…傍らには、森の精霊ドリアードの力で、蔦で後ろ手に拘束されたバルトメロイが転がっている。

禿鷲に砕かれた顎は、事前にティーダが治癒しておいた。

どうせバルトメロイは無詠唱で魔術を行使できるのだから、顎は治癒してもしなくても同じだし、また暴れた所で、禿鷲には敵わない事が証明された。

バルトメロイも無駄な抵抗はしないだろう。

『貴様はこの後、ヴラドの奴に引き渡す。奴も俺と同様に容赦のない所があるからな…人間の身でありながら、生きたまま封じ込められるだろうな。魔道協会で言う所の封印管理…だったかな?』

禿鷲が皮肉る。

「その前に、だ」

龍一郎はバルトメロイを睨んだ。

「テメェにゃ訊きたい事がある。答えてもらうぜ。その為に、顎の傷を治癒させたんだからな」