迷っている暇はなかった。

気道確保。

躊躇いもなく、すずは龍一郎に唇を重ねる。

鼻を押さえ、胸部が膨らむよう息を約1秒吹き込む。

同時に、 胸骨の下半分、胸の真ん中に手の付け根を置き両手を重ねて、圧迫する。

この繰り返し。

額に汗が浮かぶほどに、すずは心臓マッサージと人工呼吸を繰り返す。

人目のある街中の歩道橋の上。

道行く人々が、何事かとすず達を見る。

そんな視線も気にする事なく、すずは必死に心肺蘇生を続けた。