見失ってしまった以上、もうここにいる意味はない。

「ほら、龍一郎」

まだ歩道橋の欄干に寄り掛かったまま、気絶している龍一郎を揺さぶるすず。

「起きてなの、いつまでも寝てたら学園に戻れないの」

「……」

「龍一郎っ」

少し強めに揺さぶってみるが、彼は起きる様子がない。

『おい…待て、女』

禿鷲が、すずに言った。

『様子がおかしい』

「え?」

キョトンとした顔をするすずは、禿鷲の次の一言で息を飲む。

『龍一郎の脈がない』