父のノエルは、龍娘流中国拳法師範で道場を切り盛りしている。

母の龍乃は天神学園初等部教師。

という訳で、龍一郎は蒲公英や龍乃との登校という事になる。

「ママ、寝癖ついてるよ?」

「ありゃ、ホント?いやあ、ぽぽっちはしっかり者で助かるなぁ」

よく似た姉妹のようなやり取りをする龍乃と蒲公英。

龍乃がポヤンとしている分、橘家は蒲公英が炊事洗濯をほぼ任されている。

いい嫁さんになるに違いない、と昔も思っていたが、まさかミルトゥワまで嫁ぐとは思ってもみなかった。

見事な玉の輿っぷりだ、蒲公英。

兄ちゃん嬉しいぜ。

「何ニヤニヤしてるの…龍一郎?」

「おわっ?」

いつの間にか隣に誰か立っている事に気付き、龍一郎は驚く。