恩を着せておいて、その実、利用価値がないと分かればボロ雑巾のように捨ててしまう。

権謀術数の世界においてはよくある話だ。

蛮は、道具として育てられ、道具としての価値もないと分かって捨てられた。

それだけの事だとルナは思う。

「だけど」

蛮は食い下がる。

「魔道協会に所属して、あの人は僕にとっての親代わりだった」

「親にも色々いるわ。悪影響を及ぼす親もいる。虐待をする親もいる。親だからって盲目的に崇めるのは危険よ」

「だとしても、僕は会長のお陰でヴァンパイアハンターになれた」

「…重症ね」

蛮の隣を通り過ぎ、ルナはスタスタと歩いて行く。

「魔道協会をクビになった貴方はもう敵ではないけれど…そんな事じゃあ味方にもなれないわ」