『魔術か科学技術か知らんが…他者が意図的にこの状況を作り上げた痕跡がある。微量だが、何らかの力が干渉したのを感じる』

内から龍一郎に語り掛ける禿鷲。

「てか禿鷲、お前はちゃんとタイムスリップしたって認識あんのかよ?蒲公英達みてぇに、何言ってんだ龍一郎、とか思わねぇのかよ?」

『残念ながら』

禿鷲は自嘲気味に言う。

『俺は貴様の中にいるからな。迷惑な事に、貴様と1つの個体として認識されているらしい。貴様がタイムスリップとやらをしたと認識できるなら、俺も認識できるようだ』

「よかったぁ~…」

洗面所で、ヘナヘナと腰砕け状態になる龍一郎。

誰も理解してくれないまま、たった1人でこの訳の分からない状況を解決する方法を模索しなければならないのかと思っていた。

1人ではない事が分かっただけでも、今は頼もしい。