わたしには似合わない花柄のハンカチをポケットから取り出した。
「はい、これハンカチ」
「似合わねーなぁ」
なんて言いながらも、あとには照れくさそうに「ありがとう」と言ってきた。
そして彼は、涙で濡れた頰をさっと拭き取ってしまった。
ていうか、この人綺麗な顔してるな。
目も切れ長の二重だし、まつ毛も長いし。
右目の下にあるホクロもセクシーだし。
「何ジッと見つめちゃってんだよ?」
彼の顔をジッと見つめていたことにやっと彼の言葉で気付いた。
「あ、いや。別になにも」
「ふーん」
そしてしばらくしたあと、彼が大きな瞳を見開いて「あ!」と大きな声を出した。
「え?」と問うと、
「俺もハンカチあったの忘れてた」
って言い、彼はポケットから青色のハンカチを取り出してポイっと私に投げ渡した。
「これ、私に?」
「さっさとそのぐしゃぐしゃの顔面ちゃんと拭けよ?」
言い方はなんか変だけどこれもこれで優しさなんだろうなって考えながら、私はそっと涙を拭き取った。

