話は以上だと語る背中を向けられてオレは立ち尽くしていた。
オレは……颯姫を手放したいなんて更々思わない。
でも……
もしも……
この手の内から颯姫が去るのなら……
オレはどんなに辛くてもその手を離すつもりだ。
オレじゃなくてもっともっと出来たいい人と……
幸せになってほしいと願うから…………
「……あ、颯姫……」
「お、宏ー」
1日クラスの違う颯姫のことばかり考えていたらいつの間にか放課後になっていた。
陽斗と別れたオレはまさかの悩んでいた元凶の人物と遭遇。
でも今日は確か……テスト期間で部活が無いから自主練してくって……言ってた気がする。
うん、多分そうだった。
だから会わないはずなのに……
「き、今日確か……自主練するって言ってなかった?」
「ほー、よく覚えたね?
そのつもりだったんだけど、やっぱり駄目だって言われてさ」
そう言う颯姫は特に変わった様子も無い。
いや……そう見せているだけ?
オレには分からなくて……。
「宏もう帰ってると思ってたよ」
「い、今から帰ろうと思ってたとこ……。
ぐ、偶然だね」
「だね。帰ろっか?」
「う、うん……!」
さほど背丈の変わらない颯姫が隣に並ぶ、日常。
でも今は慧冴くんから聞いた颯姫の様子のことが気になって仕方無い。
聞いても……きっと颯姫のことだから隠して言ってくれないだろうなぁ。
そんな時……オレが出来ることってなんだろう?
料理……?
いや颯姫の方が断然上手いからありがた迷惑といったとこか……
言葉で気持ちを改めて伝える……?
いやいやきっと颯姫に引かれるな……。
普段から言わないようなことばかりが頭に浮かんできてはかき消す。
「……宏さ」
「うっ、うん!?」
「やっぱり何か……あるんだよね?」
「そ、そんなこと……」
「あたしには……言えないこと?」
「……っ」



