車を走らせて4時間弱。

今まで見慣れてきた風景とは
全然違う街並みが見えて来た。

車通りも多くて、
高いビルや高層マンションが
建ち並んでいる。




私は車に乗せられた瞬間から、
脱力感で後部座席に
寝っ転がっていた。



「もうー。ひより〜。
そんなにスネないの。」


そんな私を見たお母さんは、
助手席から顔を覗かせる。



「だって今更、転校なんかして
慣れるはずないもん。
花梨とも離れちゃったし…。」


「すまないな。父さんの
仕事が急に忙しくなってな。
引っ越さなきゃどうしようも
なかったんだよ。
可愛いひとり娘を置いていく
わけにもいかないし。」


「そんな言われたって…。
学校はどうするの⁇今更
編入試験とか受けなきゃ
いけないの⁇」



勉強が苦手な私は、
転校した後も心配だけど…
それ以前に編入試験とかの
方が気になっていた。




「転校先の学校が、
よっぽど素行が悪いとかじゃ
ない限り編入試験は特に
しなくていいって言ってたわよ。」


「そっか…。」



お母さんの言葉を聞いて、
私はそっと胸を撫で下ろした。