新国王の暗殺を企てる者。
民衆の不安を煽る者。
王に取って代わろうとする者。
王兵となった革命軍の仲間を襲う者。
新国王はその全てを処刑し、民衆たちの表情を消した。
「……革命を終えたあと、ボクらは素知らぬ顔をしてまた2人であのアパートに住めばよかった。
まだベッドは2つとも使えたし、二度の暴動で壊された壁だって元どおりにできた。
ボクは、富が欲しかったんじゃない。
ただ……アーノルドと、2人だけの革命軍だった頃のように、静かに暮らしていたかった」
毎月のように城から送られる大金。
そんなもの、いらなかった。
反乱者の公開処刑。ギロチン台に、首吊り。
拷問して、仲間の居場所を吐かせた者もいたらしい。もはや、街はかつて暴君が支配していたときのように恐怖に満ちていた。
『息子が王に殺された。息子が何かを企てていたなんてとんだ憶測だ』
『私の夫が反乱者?何かの間違いよ』
『おれが謀反を?嘘つけ、おれは誰かにはめられたんだ!誰かにっ……!』
『誰でもいいから、アーノルドを殺せ。
この国を――救ってくれ』
「許してくれ、アーノルド。
きみは聡明で慎重で、誰よりも気が弱いから……きみを殺せるのは、きっとボクしかいなかったんだ」
唯一王との対面を許される、このボクしか。
昨夜、革命軍の連絡手段だった笛の音でアーノルド直々に門を開けさせ、なるべく誰にも見られることがないように最上階に上った。



