作戦開始だ。
アーノルドが王女様の頭に銃を突きつけているうちに扉の鍵を閉め、ベルを鳴らす。
そうして王兵の注意をこちらに向け、ベランダに向かって吹いた笛を合図に革命軍が城内になだれ込んだ。
「……完璧な作戦だった。意外にも、あの暴君もさすがの姫君だけは大切だったらしいな。
王兵はこちらに手出しはできず、王女を連れながらボクらは城の中を歩いた。きみが死んだ場所を目指して」
最上階につくと、暴君は正装に着替え、覚悟していたようだった。まっすぐにこちらを見据えている目。
初めてだった。
王が、ボクやアーノルドのような庶民の前に立ったのは。
「……あのとき、ボクはアーノルドを止めればよかったのかな。でも、そうしたらボクらは死んでいた。じゃあ、やっぱり……」
すすり泣く王女をボクによこし、アーノルドは片手に銃を構えながら王に詰め寄っていった。
厳かな王。険しい顔の革命家。
王女の泣き声。傍観するボク。
闇を切り裂くような発砲音。
革命は成功し、王が変わる。
「……もう、見てられなかったんだ。
狂っていくアーノルドの姿を」
目を開けると、幻覚なのか、目の前で眠るアーノルドの横顔が涙を流したような気がした。



