「なぁ、アーノルド。きみは気づいてたんだろ?民衆たちが、革命軍は生活を脅かす存在として認識していたこと」



ボクがうすうす感じていたことを、アーノルドははっきりと知っていたのだろう。



「革命軍なんて、しょせんは武力行使のテロリストなんだ。人々はボクらを認めようとはせず、中には、王兵に――革命軍の居場所を、告発しようとしていた奴もいた。

その男を殺したときのアーノルドの顔を、
覚えてる」



今までの気弱さが消え、何かを決意したような強い瞳と、表情のない顔。

血を流すことなく国を変えることはできないのだと、その男の死に顔はボクらに告げた。



その瞬間からだ。
アーノルドが、感情を殺したのは。



「きみは、どこで間違えたんだ?」



革命を起こす日を数ヶ月も早め、ボクらは城に乗り込んだ。革命軍の証である黒いマントを羽織り、今は亡き王の首を狙って。



月のない夜、城に王兵のスパイを送り込み、井戸の中から十人弱の仲間と地下室に続く道を歩いた。

ネズミの死骸。蜘蛛の巣だらけの道。
カビ臭い匂い。

革命軍の主導者が力強く掲げた、
たいまつの火。


地下室でしばしの作戦の確認、アーノルドとボクの2人は王兵の鎧を着て王女の部屋に向かい、他の仲間は2つの城門の前へ向かった。

王女様はまさかボクらが革命軍だとは思いもしなかったのだろう、簡単に見知らぬ2人の王兵を部屋に招き入れ、人質になってくれた。