兜をまとった王兵の、その口元に浮かぶ笑み。

通りから差す光。
死は目前だった。


王兵が剣を振り上げた瞬間、――ボクはその背中に革命家の姿を見た。



「噂には聞いていたけど、実際に革命家がいるとは思ってもみなかった。

あの頃、国に反逆を起こそうとする人間なんてアーノルドしかいなかったからな」



微かに、人々のざわめきが聞こえる。
廊下を歩く王兵たちの足音までも。


暗い部屋は、ボクと彼の2年半の生活を思い起こさせた。



「まさか、帰るところがないボクを同居させてくれるとは思ってもみなかったよ」



床で眠ろうとしたボクに、たった1つしかないベッドを譲ってくれたこと。

雨音の中、ボクは泣きじゃくることしかできなくて、彼の優しい匂いだけが唯一ボクを慰めてくれた。



「2人で活動するうち、少しずつ謀反の意思を持つ人々が増えてきて、革命軍が作られた時はとても嬉しかった。

周りにはボクらを認めてくれる人たちしかいなくて、この国を変えることが革命軍の使命なんだと思っていた」



情報屋に次いで、武器屋、
王兵や侍女のスパイ、謀反の意思ある人々。


革命軍の中で燃え上がる炎。
きっと、全てが間違いだった。