「許可がおりました。かつての革命軍の副司令官であったルーク様なら、と……」

「ありがとう」



城の門が細く開かれ、身を滑り込ませた途端に王兵は鍵を閉めた。王兵に理由を尋ねたところ、浮かれた民衆たちが城に乗り込んでくる可能性があるのだという。

確かに、アーノルドの犯した罪を鑑みれば、それも仕方がないような気がした。



ギロチン広場。首吊り塔。
城の地下にある拷問室。巨額の富。



アーノルドは、ボクよりも無垢だった。神を信じて純潔の限りを尽くし、ただ国を救いたい一心で革命を起こした。

無垢であるからこそ、きっと恐怖は大きかったのだろうと思う。

街中の小さなアパート暮らしから王にまで上り詰めた気弱な青年を、決して民衆は受け入れようとはしなかったから。


城に足を踏み入れ、ボクはマントを外した。



「アーノルドはどんな状態だ?」

「後頭部に銃弾を……即死だったとのことです」

「そうか。なら……よかった」



街の騒音とは一変して静まり返った城で足音を反響させながら、王兵のあとに続いた。

代々この国を治めてきた王たちの肖像画が壁に並び、それはあるところで途切れている。


そこにアーノルドはいない。


……革命を起こす前、この国はいわば前国王の玩具だった。