食事後、寝巻きから青い服に着替え、腰にベルトを巻いてアーノルドから授けられた銃を挟む。

黒いズボンの上から茶のロングブーツを履いて、黒マントを羽織り、カゴに積んだりんごをかじりながらボクは外に続く玄関を開けた。


街には祝福のメッセージが溢れていた。

あちこちに散らばっている紙には、革命家が死んだことを祝う祭りが数日後に開催されると書かれていた。


また、小鳥の涼やかな鳴き声を耳にする。



「よう、聞いたか兄ちゃん。あのアーノルドが死んだらしいぜ」



朝から酒臭い息を吐き、中年の男は笑ってボクの肩を掴んだ。



「暗殺されたってもっぱらの噂だよ。是非とも死に顔を拝みてえもんだな。さんざん迷惑してたんだよ、こっちは。そもそも……」



言い終える間も無く男は人ごみの中に消えていき、道端にはボク一人だけが残される。



……彼は、城の最上階にある寝室にて、後頭部を撃ち抜かれて死んだ。

ベランダの手すりから上半身を乗り出し、まるで彼の亡骸は街の夜景を見下ろしているようだった。


数年前の苦しみが、幻であるかのように。



不意に痛む右腕の傷。

兵に切りつけられた古傷。


王兵に殺されかけたボクを救ってくれたのは、他ならぬアーノルドだった。