夜空に赤い星が散ったみたいだった。

力が抜けたアーノルドを残して部屋を出た。最上階はたったひと部屋きりの孤立した部屋だったから誰も気づかないだろう。


革命は成功し、王は死んだ。
長い夜が明けたように。



少しずつ、廊下の気配が慌ただしくなる。


どうやらすでに気づかれつつあるらしい。

アーノルドは少しも抵抗することなく殺されたこと。そんなことができるのは、彼が気を許していたボクだけだということ。



「きみは二度も革命を成功させた」



ベルトに挟んだ銃を取り出し、弾を確認する。



「二度も国を変えたんだ。きっと、きみにしかできないことだ」



民衆はボクらを望まない。かつての革命軍の仲間たちだって、もう一度革命を起こすことなんて考えない。






「きみは最後の革命家だ。

 ……ボクも、
 アーノルドのようになりたかった」






ボクのマントを彼の死骸に掛け、ボクはろうそくの火を吹き消した。

一瞬の暗闇が視界を覆い、石の壁の隙間から外の明かりが漏れるのを見る。



横たわるアーノルド。

彼のベッドに背中を預け、銃を咥え、引き金を引く。






脳内に響く、銃声。