部屋の明かりを消し、2人でベランダから眺める星空はとても美しかった。城下町の夜景は賑やかで、でもどこか暗い影を落としていて、革命が起こる前の国みたいだった。

手すりにもたれかかるアーノルドの端正な横顔は、憂いを帯びていた。



『アーノルド』



ボクがベッドに座って名前を呼ぶと、アーノルドは気だるげにこちらを見た。



『もしボクが
 この場で銃を取り出したらどうする?』

『……手入れでもするのか』

『……まぁ、そうだな』



ベルトに挟んでいる銃が布を通してやけに熱く感じられた。


手が震えているのを悟られないようにしていたつもりなのに、アーノルドは星空を見上げたまま呟いた。






『殺すのか、オレを』






息ができなかった。

革命を起こすことの重みを知らないまま、ボクは覚悟したつもりでいた。


アーノルドはきっと、この重みをたった1人で背負っていたのだ。

ボクや仲間たちに気負わせず、ただ孤独に。


立ち上がって銃を構えても、気を抜けばすぐにでも落としてしまいそうだった。



『この状況じゃ、オレに逃げ場はないな』



ベッドの横に常備している銃を一瞥し、アーノルドは笑った。



『ルーク』



アーノルドは再び星空に目をやり、背中を見せた。



『死ぬなら、その間、星空を見ていたい』

『……わかった』



アーノルドの後頭部に銃を突きつけ、ボクは息を吐いた。