「……へえ?崇も、隅に置けないねぇ」


絵里花にはまるで似つかわしくない、うらぶれた居酒屋のチューハイで酔っ払いながら、礼子は面白そうにそう言った。


礼子には、もう少し同情してもらえるかと思っていた絵里花は、ちょっと当てが外れてしまう。
それで、今日子から送られたメールの文面を見せてみることにする。すると……、


「うわー、今日子ちゃん、マジで奪う気なんだね」


と、礼子はもっと面白がってケラケラと笑った。


「笑い事じゃ、ないんだけど」


相談する相手を間違えたとばかりに、絵里花は恨めしそうな顔をする。その顔を見て、礼子は少し真面目な態度になって、絵里花に言った。


「そもそもあんな取り柄も特徴もないオトコ、今日子くらいがお似合いなんじゃない?絵里花、あんたはもっと上のオトコを狙いなよ?」

「そんなこと言ったって。私にとって男の人は、崇くんだけだったんだから……」

「そんなに崇に執着する理由はなに?こんな仕打ちされて、まだ崇のことが好きなの?私には理解できないけど、そうやってモヤモヤしてるんなら、決着つけに行ってきなよ」


「決着……って、どうやって?」


絵里花は不安そうな表情で、礼子を見つめ返す。