父と母は、富山の両親の反対を押し切って、東京へ駆け落ちし
一緒になった。
でも、そんな母が泣いているのは、わずかな時間だった。

「まさちゃん、今日、泊まりに行くからね。」

そんな電話の会話がよく耳にした。
そんな日は、

「戸締りして早く寝るのよ。ちょっと出かけるから・・・・・・」

「どこ行くの?」

「ちょっと友達に逢ってくるから」

それから帰って来ない日が多くなった。
帰ってこない日は、必ず玄関に布団をひいて寝た。
母が戻ってくるのでは、無いかといつも思っていた。
真っ暗の中、一人なのは、怖かったから、父に買ってもらった大好きな
マジンダーVの超合金のオモチャを抱きしめて寝た。

「マジンダーだけが友達だよな~」とつぶやいた。

そんな思いがこの走り方になった。