僕はとにかく喋った。
笑いは全く無い。
ストリップ小屋の客は、シビアである。
お笑いより女の裸見に来ているのだから。

「早くひっこめ!」とかの野次は当たり前だった。

そんな野次をどう返すかが芸人の見せ所だ。

「逃げるなよ!」その山さんの言葉を思い出した。

「絶対逃げない。ここで逃げたら一番になれない」

―芸人に刃物はいらないー (笑わなければいい)

芸人殺しの極意だ。
笑いの無い、舞台ほど辛いものは無い。
台詞が終わる。
もうすぐ山さんが出てくる。
汗が、額から落ちてくる。
最後の台詞を言っても山さんは、舞台に出てこない。