考えなくてもすでに、答えは自分の中に出ていた。芸人になりたい。
その答えしかなかった。
とにかく、芸人になる入り口が知りたかった。
いつも、ジャンボ高田の行動を観察していた。
観察することが、芸人になるヒントだと思っていた。

「おい!お前!何で、気がきかねえんだ」

「はい」

「タバコをくわえたら、火をつけろ!」

「はい」

ビールを飲みながら、弟子に怒っていた。

「気がつかねえ芸人は、出世しないぞ。」

ふと、近づきビールを持って、グラスに注いだ。

「お!ありがとう。お前、何をやっている。お前が、ビール入れないと
いけないだろ!」

「はい」

弟子は、ビール瓶を僕から奪い、僕を睨みつけた。