「それでいい!」何度も心で叫んだ。

10年間、我慢してきた結果が、今、出た。
あまりにも凄い笑いがきたので、舞台袖には芸人が皆、集まり
僕らを見ている。
笑っているお客だけじゃなく、舞台袖にいる芸人まで笑っている。
やっと認められた。健太はすかさず突っ込んだ。
また大きな笑いが来る。
だが俺は動けない。目の前がかすんで見える。

「何をしているんだよ、早く起きなよ~」

「こんなところで負けてどうする!一番になるだろ!」
最後の力を振り絞って相棒に目で訴える。

「寝過ぎだよ。起きて!」起きないどころか動けない。
何度も声をかけた。