もちろん仕事がほとんど無いので、女に食わせてもらって
生活していた。でも心は芸人を忘れていない。
ただ仕事が無くて、女に食わせてもらっている紐みたいなものだ。
全く気の無い女性との暮らし。
いずれ、女が去っていく。
その繰り返しの人生。


過去の栄光を使って、別の女性の家に、転がり込んで生活した。
それでも仕事が無くなる事はなかった。
こんな生活になじむと売れる事などすっかり忘れ、
今日の生活費を稼ぐだけの人生になっていた。
朝方、目が覚めた。隣に女が寝ている。
酔っ払って、昨日、一緒だった女の家に寝ていた。
寝ぼけながら、時計を見た。

「やばい!遅れる!」

慌てて、演芸場に向かう!出番ギリギリだった。
デンさんは舞台袖で待っていた。

「舞台終わったら、ついて来い」
一言言って舞台に出て行った。もうコンビ組んで8年目だ。

「お前、これから、どないするんや?」

「・・・・・・・・・」