玄関の鍵を開け、ドアをゆっくり開けた。こんな時の女性は強い。
その瞬間、男は土足で上がってきて俺を見た。

「誰だ!お前!」

その瞬間、やばいと思い、土下座した。あやまるしかない。

「すみません」

男は仁王立ちで俺を見ている。

「順子、誰、なんだよ、こいつ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」順子は黙っている。

男は順子を殴ったりけったりしているが、俺は土下座したままだ。
自分の立場は、全て不利である。完璧な100対0。
何も言えない状態だ。でもこのままじゃ順子がまずい展開になる。

「やめて下さい。」

男は殴るのを止めて、こちらを見た。

「お前、この責任をどうする!」

頭にはすでに金を用意しないといけないと思った。
何者かわからない。
スーツから紙とペンを出していった。

「お前、この紙に名前と住所と連絡先をかけ」

頭の中では、コンビを思いだした。昼から演芸場の出演だ。

「出番、今日は、出られるだろうか?デンさんに迷惑かけたな~」

ふと心で思った。