でも今は違う。みんなが見ている。だからおもいきり走った。
最初でバテるはずが、まだ前列に残っていた。
苦しかった。
最初から飛ばしたから・・・・・
最初の非難が、だんだんと歓声に変わってきた。

「がんばれ!」

「後もう少しだ!」

これ以上走れないぐらい走った。
ゴールは目の前だ。
でも後ろからの足音が、聞こえてくる。
何かに追われている気分だ。
一番になりたいが、足はもう動かない。
目の前はゴールだ。

「もう少しだ!がんばれ!」担任の前田先生が叫ぶ。

「北田君~頑張って!」

あれだけ見向きもしなかった榊原夏子も応援している。