たくさんのありがとうを君へ。


「おい」

ひっ

横から声が聞こえてくる。

おそるおそる横を見ると

怖い人があたしを見つめていた。

「な、なんでしょう…」

「お前、名前は?」

あたしの名前?

そんなの気になるの?

なんで?

「鈴村…」

「下の名前」

こ、こわいーーー!!!

もーやだよー

あたしの名前なんか

どーでもいいじゃん…

「月…です」

敬語になっちゃうよー

「月…ね。

俺は龍雅だ。

龍雅と呼べ。」

この人のことを呼び捨てにすんの!?

ムリ×ムゲン

あたしは困った。

「龍雅ってよべ。

返事は?」

「は、はい。龍雅…さん」

さん付けが精一杯。

「さんはいらねえ」

い、威圧が…

「龍雅」

龍雅はクスッと笑って

「おう」

と言った。

笑うと案外いいじゃん。

あたしは不覚にもきゅんとした。

「今日の放課後屋上にこい」

え、

屋上?

あたしどーなっちゃうの!?