PMに恋したら

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太一と連絡を取らないまま数日たった。二人の今後の関係を考えることはわずかな時間だけで、頭の中の大部分はシバケンが占めていた。
私はあることを決めていた。太一に『家に行く』とLINEを送り、定時になるとすぐ退社した。会社の近くのケーキ屋でシュークリームを買った。電車に乗り、太一の家の最寄り駅で降りた。
今日こそはいますようにと願いながら交番まで歩き、中を覗いた。二人の警察官が中にいて、幸運なことにその内の一人はシバケンだ。

「すみません……」

「はい……あ」

ガラスの扉を開けた私にシバケンも気づいたようだ。

「先日はありがとうございました」

私はシバケンに靴下の入ったテーマパークの袋を差し出した。

「わざわざすみません」

「あとこれを皆さんでどうぞ……」

おずおずとシュークリームの箱をシバケンの前に出した。

「交番にお巡りさんが何人いるのか分からなかったので5個しかないのですが……」

シバケンは箱を受け取ると中身を開いた。

「あの、ありがたいんですがこういうものは受け取れないんです」

「え、そうなんですか?」

「お礼の品は一切いただけないんです……」

がっかりだ。感謝の気持ちとしてこれが良かれと思って持ってきたけれど、公務員はこういうものは受け取ってくれないのだ。

「いいじゃないですか柴田さん」

横にいたもう一人の警察官がシバケンからシュークリームの箱を取った。

「個人的な差し入れだと思えばいいんじゃないですか?」

「お前な……」

「そうです! あの時靴下を貸してくださったことに対しての個人的なお礼です!」

私は笑顔になった。受け取ってくれたらシュークリームも無駄にならない。

「じゃあいただきます……」

「はい!」

「ほんと、柴田さんは真面目ですね。冷蔵庫に入れてきます!」

箱を奥の部屋に持っていった警察官をシバケンは呆れた顔で見ていた。