思わずプロポーズなんて言葉が出てしまった。だって父へのお見舞いとして持ってきたのだろうけど、花束を抱え私を守ると宣言されてはまるでプロポーズされたかのようだ。シバケンを急かしてしまうのは嫌だから、結婚を匂わすことは言わないでおこうと思っていたのに。
「あーもう……プロポーズするときに言おうと思ったことを今言っちゃった。こんなはずじゃなかったのに……」
シバケンは片手で頭を抱えた。
「ちゃんと考えてくれてたんだ?」
「当然! だからこんなシチュエーションは予想外だ」
焦るシバケンに対して私は安心したのと嬉しさで耳まで紅潮する。
「指輪は一緒に選んでくれる?」
「うん。もちろん!」
そう言うとシバケンに体を引き寄せられ腕に包まれた。片腕に花束を抱え、もう片方の腕で抱き締められたから顔のすぐ目の前に色とりどりの花がある。
「俺は実弥が思う警察官じゃない。万人のヒーローじゃない。でも実弥の前ではヒーローでいたい。そうあり続けるよ」
シバケンが守ってくれるなら私は絶対に幸せでいられるじゃないか。
「じゃあ私はそのヒーローを支えるヒロインになります」
この言葉に微笑んだシバケンのキスが額から目頭、頬へと降り注ぎ、焦らしながら唇に優しくて深いキスをした。唇が離れると見つめ合って笑った。
「お見舞いに来たんだけどな。こんな展開はマジで予想外だよ」
「じゃあお父さんに会ってあげて。っていっても、今は寝てるんだけど」
病室のドアを開けると寝ていると思っていた父は体を起こし、ノートパソコンと書類を広げて再び仕事をしていた。
「お父さん!? 起きてたの?」
いつから起きていたのだろう。病室の外でのやり取りが聞こえていたのではと気恥ずかしくなる。



