もしかしたらと見に行ったパーキングには予想通り父の運転していた車が停められていた。父の荷物から車のカギを回収しておいてよかった。このまま止めておくこともできないので仕方なく運転して帰った。私も久しぶりの運転だし、父の事故のあとだからより一層慎重に運転した。
家に着く頃にはすっかり暗くなり、誰もいないリビングで電気もつけずに再び考え込んでしまった。
突然スマートフォンの鳴る音が部屋に響き、驚いて体がびくりと震えた。画面にはシバケンからの着信だと表示が出ている。暗い部屋でスマートフォンの画面だけが眩しく光った。
心細かった私は勢いよくスマートフォンを取った。
「実弥、今大丈夫?」
「うん……」
穏やかな声に思わず目頭が熱くなる。
「お父さんは大丈夫?」
「どうして知ってるの?」
「事故の通報があって最初に現場に到着したの俺と高木だったから」
「そうなんだ……」
改めて思い直せば古明橋で事故があればシバケンが知らないはずがない。110番通報があれば駆けつけるのはシバケンなのだ。気がつかなかっただけで事故現場にいた数人の警察官の中にシバケンもいたのだろう。
「命に別状はないって。今は眠っててお母さんが付き添ってるの」
「そう。安心した」
私を気遣ってくれるシバケンに父はもう自分の足で歩けないかもしれないとは言えない。私自身がまだその事実を受け入れられないのに、言葉にしてしまうのが怖かった。
「お父さんね、私の会社に来ようとしてたの。私に会社を辞めさせようと思って」
事実かどうかはわからないのに私は父が古明橋にいた理由を決め付けている。
「自業自得だよね。それで轢かれるんだもん」



