「なっちゃん、デート?」
森くんが二人に話しかけた。
「そんなわけ、ないでしょ」
やっぱり笑いながら「なっちゃん」は森くんに返した。
「ほんとに?」
「ほんとよ。あなたたちが悪いことしてないか見回りよ」
「だよね。デートだったら「浮気者」って言うつもりだったのに」
笑いながら「なっちゃん」と森くんは会話する。
山脇先生の方に視線を向けると、少し傷ついたような表情をしていた。
「じゃあ、変なことなしでお祭りを楽しんでね」
「なっちゃん」は森くんに手を振り、山脇先生に視線を向けて、あたしたちとすれ違うように進んだ。
すれちがった瞬間、「なっちゃん」からは甘いかすかな香水の匂いがした。

