そんなやり取りをしていたら、朱里ちゃんがテントに戻ってきた。
「何、楽しそうにしてるの?」
「朱里ちゃん、おつかれさま。速かったね」
「いや、やっぱり陸上部は速いわ」
朱里ちゃんはあたしの後ろの席に座った。
テントの中の席順はすでに自由で。
指定した席に座っている人の方が少ない。
みんな好き勝手に仲のいい人と近くに座っているように見える。
200m走の招集を呼びかける人が回ってきて、天野くんと森くんが席を立つ。
それを見て、朱里ちゃんも「最初の応援合戦の準備に行ってくる」と席を立った。
あたしはまた一人になり、グラウンドをぼんやりと見る。

