「朱里、速いね」
30人中5位でゴールした朱里ちゃんが順位のかかれた旗に並ぶ様子をみながら、ぽつりと天野くんが言った。
「水泳部なのが信じられないくらい速いな」
森くんも感心している。
「森くんと天野くんは何に出るの?」
あたしは二人があまりにものんびりしているから気になった。
「俺は、200m走と借り物競争と綱引き」
天野くんが答えた。
「俺も200m走と借り物競争と選抜リレー」
と答えたのは森くん。
「森くんて、勉強もできて運動もできて、できないものないよね」
「でも、彼女はできないのな」
あたしの発言を聞いた天野くんが笑ってつっこむ。
そんな天野くんの背中をバシっとたたく森くん。
「ほんと森くんに彼女いないの信じられない」
「そうだよな。俺よりモテるのにな」
「天野、余計なこと言わないで」
「え?そうなの?たしかに、森くんモテそう」
「ちょっと、石川さんもそういうこと言わないで。モテないから」
「うそだよね。だってこの前、3組の」
「天野!」

