ここでキョドっても仕方ない。


そう思って私は、冷静を装った。



「で?だから、どうだって言うの?」


「俺、智美のこと好きなんだ。

だから、社長なんかに渡したくないわけ」



あ〜、やっぱりか。


遊んでた頃から、薄々そうなんではないかと思ったことがあった。

でも、自意識過剰なんじゃないか。とも考え、そこまで気にもしてなかったけど…



「私は、聡の気持ちに応えることは無理、ごめんなさい」


「は?智美に拒否権なんて、ないよ?

俺のところに来ないと、全部バラすよ?
今度こそ、社長どうなるだろうね?」


……卑怯にも程がある。



そんなことって、ある?


よりにもよって、昔遊び相手だった人に脅されるなんて…



「まぁ、可哀想だし

1ヶ月だけ時間あげるよ。
1ヶ月だけ社長と付き合ってなよ。

そして1ヶ月後、社長と別れて俺の彼女になること。いい?」


「そんなの…」



「あ、別に断ってもいいけど

断ったらどうなるか、わかってるよね?」



私は、泣く泣く頷くしかできなかった。


それを見た聡は、満足そうに笑っていた。



聡がこんな奴だったなんて、ショックだ。


それよりも、腹立たしい。



私は、泣きそうな顔を隠し

「今日は、帰る」

それだけ言って、会議室を後にした。