「って言っても、専務なんだけど」


専務…あっ!!!



思い出した!!

ここの会社の専務は、島吹 聡だ!!!



なんで私、気づかなかったんだろう。


名前聞けば気づくはずなのに、何も疑いもせず気にしていなかった。



ってか、この手紙の出した人って

間違いなく聡だよね?



「そっか、気づかなかった。

それより、この手紙って聡だよね?」


そう聞くと聡は、ニコリと笑いながら頷いた。



何が目的で、こんな手紙をよこしたのだろう。


丁寧にイニシャルにしてまで。



「俺、知ってるよ?

……これ、見てみて?」


そう言って聡は、携帯を操作して1枚の写真を見せてきた。

そこには…



「さ、聡?どうして、これ…」


「最近、智美クラブに来ないと思えば
社長との噂が流れてたし
何かあると思って、つけてたんだよね」



なんて言いながら、煙草に火をつける聡。


確かに、実乃里ちゃんを預かってから

一度もクラブに足を運ばなかった。



実乃里ちゃんとの生活終えても、聖さんと色々あって今は付き合ってるし

それだからか、クラブに行こうなんて思ったこともなかった。



「で、昨日たまたま通りかかっただけだけど

会社でこんなことしてるんだもん、そりゃあビックリ」



その写真とは、昨日人事課に行くときに聖さんとすれ違い

一瞬だけ手を握ってるところを撮られていた。



まぁ、それにしても一瞬だったのによく撮れたものだ。


なんて、関心してる場合じゃないんだけど。