深崎が社長室を出たのを見た後、怒ったように遠塚が


「社長!!どうして、智美にあんな強い口調で戻れと言ったんですか!!!」



俺がこいつに嫉妬をして、怒った口調で言ってしまったのを


自分が一番ムカつくっていうのに


他人に言われると、余計腹立たしい。



しかも、嫉妬した相手に言われると余計な。



「仕事中だ、当たり前のことだろう」


「そうですが、今まで普通でしたよね。

……もしかして社長、智美のこと好きとかじゃ」



こいつに見破られるなんて、俺もまだまだだな。



「あぁ、女として好きだ」


深崎の幼馴染に打ち明けるという、なんとも言えない複雑な気持ちだ。



しかもこの気持ちは、まだ誰にも言うつもりなかった。


もちろん、深崎にも。



「そうですか。

心配しないでください、僕に嫉妬したようですが
僕も智美も、一度も恋愛対象で見たことがありません。

僕はとくに、ですね。
あいつのこと、姉貴みたいな感じだったので」



俺はその言葉を聞いて、少しだけホッとした。



「そうか。
みっともないところを見せてしまってすまない」



部下に嫉妬だなんて、みっともない。


これからは、ちゃんとしないといけねぇな。