車で1時間走り、ようやく待ち合わせ場所に到着した。


いまだにぐっすり眠ってる実乃梨ちゃんを起こすのは可哀想なので、社長が静かに抱っこして近くのベンチに腰掛けた。



「今日で、おしまいなんですね」


「そうだな」



それから2人は、実乃梨ちゃんの両親が来るまで無言だった。


そう、今日で何もかもがおしまい。



実乃梨ちゃんとの生活も、社長の家で社長と一緒に生活することも


全ておしまいなのだ。



それを今、改めて思うと寂しくて


1人であの家に帰ることが欝になる。


前までなら、慣れていたのに。



なんて考えていると、前方から仲良さそうに歩いてくるカップル。


そして私たちの目の前で立ち止まった。


きっと、この2人が実乃梨ちゃんの両親なんだろう。



「深崎さん、ですよね?」


「はい、佐藤さんですか?」


「はい」



そう言って、ニコニコ笑う女性は


笑い顔が実乃梨ちゃんとそっくり。



隣を見ると、優しそうな男性。


実乃梨ちゃんのパパは、とてもいい人そうだ。